シプリアン・カツァリス 公開マスタークラス【レポート】

2016年10月2日(日)、3日(月)に実施いたしました、
「シプリアン・カツァリス 公開マスタークラス」のスタッフによるレポートです。

「鍵盤の魔術師」カツァリス氏が音楽院にお越しくださいました。

カツァリス
世界的有名ピアニストで、「鍵盤の魔術師」の異名を持つ
シプリアン・カツァリス氏が、
大阪音楽大学付属音楽院にお越しくださいました。

10月2日(日)と3日(月)の2日間、12:00から18:45頃まで
のべ12人の方がレッスンを受講されました。

休憩無しでレッスンが続いた後、
更にカツァリス氏が20分前後の即興演奏をしてくださり、
受講生、聴講生ともに
うっとりと聴き入る素敵な時間となりました。

レッスンを聴講して学んだこと

レッスンでは、主に2つの点を重視してお話なさっていたように感じました。

1つ目は、正しい練習方法で練習することです。
曲の中に難しいパッセージは複数個所ありますが、
やみくもに弾くのではなく、
いかに効果的な練習を積み重ねるかが大切だとおっしゃっていました。

レッスンの中でカツァリス氏が受講生に指導していらっしゃった練習法は
非常に小さな範囲を丁寧にさらうもので、
カツァリス氏の技術はこうやって積み重ねてこられたものなのだな、と
感慨深かったです。

また、その練習法を少し取り入れた後に、
受講生の方が難しい箇所を難なく弾いていらしたのを聴いて、
その効果を実感しました。


2つ目は、それぞれの作曲家の特徴を捉えて演奏することです。
作曲家によって、弾き方を変え、別人のように演奏する
カツァリス氏の様子を感じることが出来ました。

雰囲気を伝えることにとどまらず、
その作曲家「らしさ」を出すためのコツも伝授されていて、
例えば、間の取り方や、内声の聴かせるところをしっかりと聴いて弾くなど、
ほんの少しのことで、受講生のみなさんの演奏がガラっと変わることに驚きました。

カツァリス氏の即興演奏

2日間とも、マスタークラスのレッスン終了後に、
20分前後の演奏をしてくださいました。

有名な作品をピアノアレンジにして演奏しながら、
終止の和声を次の曲の開始の和声にして、音楽が続いていきます。
終止の際に独特の緊張感と静けさが生まれ、
次は何が起きるのか、と、
カツァリス氏本人も楽しみになさっているような印象を受けました。

次の曲になるその変わり目が、言葉にできないくらい美しかったです。

カツァリス氏の音楽は、いつもとても自由で、
聴くたびに予想外のことが起きます。
聴講生のみなさんも楽しんでいらっしゃるのが伝わりました。

レッスンの様子

受講生の感想

赤尾美帆さん

赤尾美帆さん
技術的に難しい部分での様々な練習方法の
バリエーションを教えていただき、
ずっと苦手だった部分が弾きやすくなりました。
カツァリス先生は優しいユーモアのある先生でした。
また、オペラハウスで演奏するという貴重な体験ができ、
今後このような機会があれば再びレッスンを受講したいと思いました。


秋山里菜さん、吉村茉莉亜さん

秋山里菜さん、吉村茉莉亜さん
私の受けた曲(シマノフスキ)は
特に楽譜の指示が細かく記されていて、
それを忠実に表現することで、ニュアンスが出るということ、
又、指使いの一つ一つをもっと考えていかなければなと、
レッスンを通して思いました。とっても楽しいレッスンでした。
(秋山さん)

今回カツァリス先生のマスタークラスを受け、
ピアニストとしての技術、
一音一音集中し求めることの大切さを強く感じました。
このマスタークラスを期に、
音楽をより深く勉強していきたいと思います。(吉村さん)

10月2日(日)にレッスンを受講された皆様

■12:00~13:00
佐野 円香:スクリャービン/ピアノソナタ第2番 幻想ソナタ 第1楽章

■13:00~14:00
中塚 梨紗:ブラームス/2つのラプソディ Op.79-1

■14:00~15:00
岩本 実姫:フォーレ/夜想曲第6番 変ニ長調 作品63

■15:00~16:00
薩摩 研斗:ベートーヴェン/ピアノソナタ第7番 ニ長調(第1楽章)

■16:00~17:00
藤吉 伶名:ベートーヴェン/ピアノソナタ第12番 変イ長調 op.26 第1楽章

■17:00~18:00
前田 嵩人:リスト/バッハの名による幻想曲とフーガ


10月3日(月)にレッスンを受講された皆様

■12:00~13:00
佐藤 翼:ショパン/バラード第1番 ト短調 作品23

■13:00~14:00
吉村 茉莉亜:ショパン/幻想ポロネーズ 作品61

■14:00~15:00
由里 智咲:ショパン/練習曲 作品25-8

■15:00~16:00
秋山 里菜:シマノフスキ/変奏曲 変ロ短調 作品3

■16:00~17:00
赤尾 美帆:リスト/メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」 S.514

■17:00~18:00
渡辺 康太郎:ブラームス/2つのラプソディ 第2番

《プロフィール》

カツァリス
シプリアン・カツァリス CYPRIEN KATSARIS
 キプロス系フランス人のピアニスト兼作曲家。1972年エリーザベト王妃国際音楽コンクールでは唯一の西ヨーロッパ人受賞者となった。その後、世界的なオーケストラと世界的な指揮者と共演をし、1984年ベートーヴェン/リストの「交響的練習曲全曲」で「レコード・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞した。これまで、ソニー、EMI、テルデック、グラモフォン、など多くの録音を行い、現在は自身のレーベル「PIANO 21」で精力的に録音を行っている。
 1992年NHKでシプリアン・カツァリスのショパンのためのスーパーレッスンが放映され、その個性的なレッスンに多くの若いピアニストが魅了された。カツァリスは、1997年に永久的な「ユネスコ平和芸術家」に任命され、関連のコンサートに参加している。