スタッフ:大学に入られてからのことを、もっと聞かせてください。
入学されてからは、ピアノ専攻の学生や他の専攻生と出会って、何か変わりましたか?
田中:すごく上手な人がいて、自分はこのままではダメだと思いました。
新しく勉強することがたくさんあったので、1つ1つに一生懸命取り組みました。
スタッフ:一歩一歩、着実に 積み重ねてこられたんですね。
田中:特に試験には力を入れていました。
自分のピアノに成績がつき、評価されることは初めての経験でした。
スタッフ:田中先生は植田定和先生に習っていらしたんですよね。
田中:はい。私は、こう弾きたいという意志がはっきりあったので、自由にやらせてくださる先生がいいんじゃないかと、ずっと習っていた先生が、勧めてくださいました。
スタッフ:植田先生からご指導を受けるようになって、変わったことはありましたか?
田中:植田先生は、基本的には私の意志を優先して、弾かせてくださいました。
その中で、私が違う方向にいきそうになったときは、直してくださいました。
いつもとても穏やかに、見守ってくださいました。
スタッフ:最初は弾きたい曲を弾いていたとおっしゃっていましたが、大学時代もですか?
田中:入学当初は先生から課題をいただくことが多かったですが、3回生くらいからは、弾きたい曲を、先生にお伝えしました。
エチュードやバッハなど、基本のものをしながら、自分の弾きたい曲を弾きました。
スタッフ:その時もしっかりと伝えていらしたのですね。弾きたい曲というのは?
田中:リストの『2つの伝説』の第1曲を、3回生の試験で弾きました。
宗教的な曲なのですが、小鳥がお話する描写があったり、フランチェスコという聖人が小鳥に語りかけたり、物語性のある曲です。
その時から、作曲家のことや作品の内容などについて、自発的に勉強するようになりました。