【インタビュー】山本 敦子 先生 ~マリンバに魅せられて~

スタッフ:今日は、山本先生のことを、少しでも皆様にお伝えできるよう、
インタビューさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本:よろしくお願いいたします。

メロディーを奏でられる打楽器

山本敦子
スタッフマリンバを始められたきっかけを教えてください。

山本小さい頃に、鈴や小太鼓、木琴などに触れる機会があり、気が付いたときには打楽器が好きになっていました。
その中で、マリンバという楽器を知ったとき、これが私のやりたいことだ!と確信しました。

スタッフそのように思われたのはなぜですか?

山本とにかく、弾くことが楽しいと思ったからです。
右に左に動きながら、自分自身が音楽に乗って演奏できること、そしてメロディーを奏でられることが、すごく楽しいんです。

スタッフマリンバは、演奏の様子が華やかですよね。

山本そうですね。左右に長い楽器の上を、素早く飛び回るように演奏するスタイルは、見た目にもインパクトがありますね。

スタッフ「メロディーを奏でられる打楽器」というのも魅力だったのですね。

山本ええ。私、最初はピアノを習っていたんです。
その後マリンバに出会ったときに、打楽器を叩く面白さと、ピアノのようにドレミの音を奏でられる豊かさを併せ持っているところに、強く惹かれました。

お客様の喜び

スタッフ:マリンバを習い始めたのは、いつですか?

山本:中学で吹奏楽部に入ってからです。
それ以前からマリンバや打楽器を弾きたい気持ちはありましたが、家の近くに教室が無く、習いに行くことができませんでした。
吹奏楽部に入部してからは、ずっと弾きたかったマリンバや打楽器を、思う存分弾けることが嬉しくて、夢中で練習しました。

スタッフ:高校でも吹奏楽部に入られたのですか?

山本:もちろんです。高校生の時は、吹奏楽部の活動に加えて、より専門的な個人レッスンにも通っていました。
音楽大学への合格を目指して、レッスンを受けたり、練習をしたりと、すごく充実した時間でした。

スタッフ:音楽の道に進みたいということを、高校生の頃に考えていらしたのですね。

山本:最初にマリンバと出会った時から、これをずっとやりたい!と強く思っていましたが、よりその思いが強くなったのは高校生の頃です。
当時、頻繁に、1人で人前で演奏させていただく機会に恵まれました。
演奏すると、聴いているお客さんがすごく喜んでくださり、それを見て、「この楽器って、こんなにお客さんに楽しんでいただけるんだな」と感じたことを覚えています。
その時の経験は、後まで続く「演奏家になりたい」という気持ちに繋がっていますね。


スタッフ:マリンバを始めた頃と、演奏家になるという目標が明確になった頃では、気持ちの面で変化はありましたか?

山本:最初は、自分自身が楽しむために弾いている、という感覚でした。
その後、高校生になり、より専門的な指導を受ける中で、音楽の深いところに触れ、それまで知らなかった音楽の世界が日に日に広がっていきました。そのことが本当に楽しかったですね。

スタッフ:ピアノも勉強されていたと伺いましたが、音楽の深い部分を表現するにあたり、マリンバで演奏することに、こだわりをお持ちなのですよね。

山本:はい。マリンバは、自分の気持ちを素直に音にして、演奏できる楽器です。
優しい音、激しい音、寂しい音…と、あらゆる感情を表現することができるし、聴く人にも、それを感じていただけると思います。


終わりのない音楽の世界

スタッフ:その後、大阪音楽大学に入学されたんですよね。大阪音大を目指した理由を教えてください。

山本:大阪音楽大学は、打楽器専攻の学生が多く、またアンサンブルの授業も充実しているところに興味を持ちました。
また、当時、大阪音大の先生からご指導いただいていたこともあり、志望校について迷うことはありませんでした。

スタッフ:大学に入って良かったことを教えてください。

山本:大阪音楽大学に来たから、今の私があります。そう言い切ることができるくらい、大学では貴重な経験をさせていただきました。
大学には、たくさんのライバルがいて、一緒に高め合うことができました。
日々、刺激を受け、自分がどんどん磨かれていくのが分かりました。
また、マリンバの学生だけで集まって演奏する「マリンバアンサンブル」を経験し、音楽的な様々な能力を身に付けることができました。
他の楽器と演奏したり、オーケストラで演奏したりするときにも、そのときに学んだことが生きています。

スタッフ:学生同士で高め合える環境は、音大の醍醐味とも言えますよね。

山本:そうですね。環境といえば、少し話題は変わりますが、大阪音大には思い切り練習できる環境がありました。
毎日、空き時間は練習室にこもって、何時間も練習しましたよ。若いときにそういう経験をさせていただけたことに、感謝しています。

スタッフ:そんなにたくさん練習されていたのですね。疲れたり休みたくなったりしなかったのですか?

山本:私は、時間があれば全部練習に使う!やらないと気が済まない!というタイプでした。
今もそうですが、例えば、先生方のコンサートに行って、素晴らしい演奏を聴くと、あんなふうに弾いてみたい!と思い、練習に取り組みます。
音楽を学んでいると、そんなふうに、次にしたいこと、出来るようになりたいことが、どんどん増えていくんです。終わりのない音楽の世界は、すっごく楽しいです。

スタッフ:「終わりのない」ところに、大変さを感じる人もいるかもしれないですが、そのあたり、山本先生はいかがでしたか?

山本:高校生の時、音楽に一生懸命取り組んで、100%やったような気持ちで大学に入学しましたが、入学後、自分がやってきたことは、音楽のほんの小さな部分だと分かりました。
その時に、これからの目標が見えて、一歩ずつ着実に進もうと思いましたね。

基礎の重要性を実感

スタッフ:学んでいく中で、悩みはありましたか?

山本:先生方に教えていただいたり、仲間の演奏を聴いたりしていると、人の真似になってしまうことがありました。
悩みましたが、演奏家として、自分にしかできない演奏をしたいと思い、自分らしく表現することを目指しました。

スタッフ:「自分らしさ」というのはどういうものですか?

山本:私が今、思っているのは、ただ楽譜に忠実に弾くだけが音楽ではないということです。
しっかり自分のものにして、心から気持ちを入れて、楽しんで演奏したいですね。

スタッフ:「楽譜に忠実に」という言葉にも、いろいろな捉え方がありますよね。

山本:音楽を学んでいく中で、基礎の重要性を実感するようになりました。
最初は基礎も無く、がむしゃらに弾くところから始まりましたが、専門的に学ぶにつれて、楽譜に書いてあることを理解し、正しく表現する力が必要だと思いました。
基礎のことをしっかりとした上で、音楽に味付けをしなければ、と感じています。聴いてくださる方々に、安心していただける演奏をしたいですね。

喜んで楽しんで演奏してもらいたい

山本敦子
スタッフ:山本先生は、音楽を広く皆様に知っていただく為に、ご自身で演奏されたり、音楽院で子どもたちにレッスンをしてくださったりしていますが、
初歩の段階の子どもさんに教える際は、どのようなことに気を付けていらっしゃいますか?

山本:最初は、楽譜を見ながら弾くのが難しいので、音楽を耳で聴いて弾くところから始めてもらっています。
楽譜を読みなさいとはあまり言わずに、音の長さや大きさなどを、体で感じて覚えてもらうようにしています。

スタッフ:楽しむということは、小さい子にとって最も重要かもしれませんね。指導の中で大切にされていることを教えてください。

山本:お1人お1人に合わせた指導をするよう、心掛けています。
音を覚えることに必死になるのではなく、喜んで、楽しんで演奏してもらいたいですし、それができる曲を選ぶようにしています。
「必ずこのレベルに達しないといけない」ということではなく、前より上達しているかを大事にし、レッスンを進めるようにしています。

スタッフ:これまでに、たくさんの子どもたちに、ご指導をされてきた中で、どういったことを感じられますか?

山本:マリンバを弾く子どもたちは、元気で明るい子が多いです。
最初、引っ込み思案だった子も、弾いていると変わっていきますね。マリンバは、パワフルに弾くところも多いですし。

スタッフ:先生ご自身はどうでしたか?

山本:私も、打楽器を始めた頃は、人に考えを伝えるのが上手ではありませんでした。
でも、マリンバを演奏するようになって変わりました。
マリンバの音から影響を受けて、いろいろなことに、明るく活発に、楽しんで取り組むようになりました。
今も、演奏したり指導したりしている中で、自分自身が、マリンバの音に癒されています。

スタッフ:これはマリンバに限らずですが、何か新しいことを始めるときには、「やろうかな、やめとこうかな」という悩みがつきものですよね。

山本:マリンバは奥が深く、弾くたびに新しい発見のある素敵な楽器ですが、最初の取りかかりとしては、叩けば簡単に音が出る楽器でもあります。
そういう意味では、小さな子どもさんにも、すぐに楽しんでいただけると思いますよ。

スタッフ:先生にとって、音楽とはどういうものですか?

山本:音楽がなかったら、私は生きていけないと思います。
どんなことがあっても音楽と離れずに、教えたり、演奏したりしていきたいです。

スタッフ:これからの夢や目標を教えてください。

山本:マリンバを弾く人が増えたらいいな、と思います。
子どもたちにも大人の方々にも、マリンバの楽しさを感じていただきたいです。アンサンブルもできたらいいですね。


スタッフ:今日はありがとうございました。

山本:ありがとうございました。