シプリアン・カツァリス
シプリアン・カツァリスは、1951年マルセイユ生まれのキプロス系フランス人ピアニスト兼作曲家で、幼少期を過ごしたカメルーンで、4歳からマリー=ガブリエル・ローワース(Marie-Gabrielle Louwerse)にピアノを習い始めた。
パリ音楽院卒。ピアノをアリーネ・ヴァン・バレンツェン(Aline vanBarentzen)およびモニーク・デ・ラ・ブルッコレリー(Monique dela Bruchollerie)に師事(1969年にピアノで第一位)、ルネ・リロイ(RenéLeroy)およびジャン・ヒュボー(Jean Hubeau)に室内楽を師事した(1970年第一位)。1977年、ブラティスラバでインターナショナル・ヤング・インタープリターズ・ロストラム・ユネスコ(International YoungInterpreters Rostrum-Unesco)優勝、1974年ヴェルサイユでシフラ国際コンクール第一位受賞の他、1972年ベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールでは唯一の西ヨーロッパ人受賞者となった。
カツァリスは、国際的に活躍しており、ベルリン・フィルなど、世界の著名なオーケストラや、レナード・バーンスタイン、クルト・マズア、チョン・ミョンフン、サイモン・ラトルなどの指揮者と共演。1984年ドイツでベートーヴェン作曲/リスト編曲の「交響曲第九番」で「レコード・オブ・ザ・イヤー賞」の各賞を受賞したテルデックとの録音を始め、これまで、ソニー・クラシカル、EMI、ドイチェ・グラモフォン、BMG-RCA、デッカ、パヴァーヌなどと数多くの録音を行い、現在は自身のレーベル「PIANO 21」で録音を行っている。ソロバージョンに協奏曲を編曲し、その録音も企画中。
ショパンイヤーに録音された4バージョンのショパンのピアノ協奏曲第2番はとても興味深い。
1992年、日本のNHKは、シプリアン・カツァリスと共同で、フレデリック・ショパンについてカツァリスによるマスタークラスの番組を制作、その個性的なレッスンに多くの若いピアニストが魅了された。2008年8月、カツァリスは北京オリンピック開催時に招かれ国家大劇院で演奏会を2回行い、新しく作られた、10台のピアノとオーケストラのために作曲した協奏曲の世界初演に加え、オリンピックの普遍性に敬意を表して古代ギリシャの旋律、そしてとりわけ中国の旋律を用いて即興演奏した。
カツァリスは、1997年に「ユネスコ平和芸術家」に任命され関連のコンサートに参加している。
東日本大震災に際しては放射能汚染も地震も怖くないので、いつでも被災者の方達を励ましに、演奏会に行く準備はできているとメッセージを送った。その年に来日した際には、多くのチャリティーコンサートを行い、義援金も送った。
大阪音楽大学客員教授。