特別講座・イベント

【講師/青山一郎】

1948年大阪市生まれ。1970年より日本楽器(現ヤマハ)大阪支店ピアノ技術課勤務。1979~1983年、独Doll社*(Hannover)より招聘、調律師として勤務。滞欧中「Festa Pro Musica」(伊・アッシンジ音楽祭)を担当(1980~1983)。帰国後(1983)吹田メイシアター、大阪城ホールの会館で専属調律師として活躍、その後大阪音楽大学ザ・カレッジオペラハウスをオープン以来担当。
1997年からは大阪音楽大学で非常勤講師として「ピアノ構造論」の授業を受け持つ。
演奏会や専門家のコンサート調律、大学の授業、そして最近ではTVやFMなどにも出演。また「パパゲーノの笛」を始めオペラの小道具の製作でも有名。
アイディアを活かした講演会は各会場で好評で、今後の活躍が注目されている。
現在、(株)ヤマハミュージック大阪ピアノ技術営業部アーティストサービス担当。大阪音楽大学・同短期大学非常勤講師。大阪音楽大学付属音楽院講師。

【講座内容】

ピアノは鍵盤を持った弦楽器そして打楽器でもあります。誰でもすぐにメロディーやリズムを楽しむことができます。しかしそのメカニズムは複雑でたいていはピアノ技術者に頼らざるを得ません。そのため間違った奏法や用法をしていたり無駄な努力をしている場合があります。正しく構造や機能を理解して、より楽しく上手にピアノを弾いたり教えたりしたいものです。
「ピアノ・エンサイクロペディア」はピアノの構造を中心にいろんな話題を織り交ぜシリーズで展開します。第1回目はピアノの誕生から近代ピアノの成立の過程に光を当て、モーツァルトやベートーヴェンのピアノと現代のピアノを比較・検証します。モーツァルトのピアノにはペダルが付いていない!ベートーヴェンのピアノには4つもメダルが付いている!CDや映像で楽しくやさしく解説、メカニズムの理解がピアノを音楽をいっそう身近にします。あなたは仕組みを知らずにピアノを弾き続けますか?

【受講者によるイベントレポート】

ピアノを弾く上で常に私の念頭にあるのが「表現の幅を広げたい」という想いである。
表現の幅と一言で言うのは簡単であるが、その内容は多岐に渡る。譜面から何を汲み取るか、速いフレーズをいかに無理なく心地よく弾くか、音色はどう響かせるか。それらをさらに細分化すると、音の強弱、リズム、長さ、等の要素に分けられ、それらの組み合わせによって表現が変化するわけである。一つ一つの音・音符に対してどんな長さで、どんな強さで弾くかという選択肢は無限大にあり、それぞれの要素の範囲(例えばどこまで大きな、或いは小さな音を出せるか)が広ければ広いほど、表現の幅も広がる。
ピアノエンサイクロペディア1の講義では、ピアノという楽器が今の形になるまでの歴史に始まり、モーツァルトやベートーヴェンがどのようなピアノで作曲を行ったのか、また、ペダルの構造について詳しい説明を聴くことができた。
その中でも特に興味深く聴かせていただいたのが、ペダルの構造についてである。
現代のピアノには大抵の場合ペダルが二つか三つ付いている。これまで私は一番右のダンパーペダルのみ多用してきた。しかし頻繁に使用してきた割に、ダンパーペダルのことをよく知っていたわけではなく、音を長く伸ばすためのペダルであるという認識にとどまっていた。
講義では、ペダルの構造を図で示したり、ハンマーの構造を見やすくしたモデルを使った解説があり、さらにピアノの中をカメラで映しながらハンマーの動く様子をライブ映像で見ることができた。これらの説明よって「ペダルをふむ」という行為がピアノの部品のどこにどう作用し、その結果音色がどうなるのかという過程が非常によく理解できた。
これまで、楽譜にペダルのふみ方がこまかく指定してあったり、ピアノの先生に「ここは浅くふみましょう。」と指示を受けても、なぜそうするのか。なぜ深くではなく浅くなのか。という点が理解できなかった。確かに音色は違っているような気がするが・・・という類のもやもやした疑問が講義を受けてから、すっと晴れた気がした。
そしてこれまで用途がわからず使用しなかった一番左のシフトペダル。これについての解説も非常に納得の行くもので、私にとってはまさに目からうろこが落ちる体験であった。単に音を小さくするペダルではなかったのである。シフトペダルも早速使ってみようと思う。
ペダルの詳しい構造を知ることは、私にとって大きな財産となった。ダンパーペダルによる可能性、シフトペダルによる可能性、そして二つのペダルを同時に使うことによる可能性。さらに言えば、共鳴させるということ。
ピアノエンサイクロペディアⅠの内容を演奏に生かすことができるかどうかは、私自身のこれからの訓練にかかってくるのは当然であるが、これからのピアノ演奏において、表現の幅が広がるであろう明るい見通しが立ったことは、間違いない。

【受講者アンケートより】

Q.今回のイベントについてのご感想をお書きください。

◆分かりやすくて良かった。また聞きたい。
◆作曲家のピアノへの想いを知って、ピアノが更に身近に感じられた。
◆アンサンブル楽器としての重要性があったという話が興味深かった。
◆とても楽しかった、2時間があっという間でした。
◆大変分かりやすく、内容も盛りだくさんで素晴らしい。是非このシリーズを継続してほしい。
◆ピアノのルーツを知れてよかったと同時に、作曲家が本当に意図している演奏を私たちが伝えられているのか疑問です。
◆色々な楽器を映像ででも見れて楽しかった。最後のお土産(演奏)は素敵でした。
◆毎日毎日使っているピアノの歴史を知ることができ楽しかった。
◆ピアノの歴史について、詳しく勉強になりました。
◆とてもわかりやすく引き込まれる様に聞かせていただきました。

◆熱心に教えていただきありがとうございました。シフトペダル試してみます。
◆ペダルの使い方についてもっと教えてほしかった。
◆私はピアノ素人ですが、楽しく聞かせていただきました。
◆たくさんメモがとれました!論文に活用できそうです。
◆短時間に歴史からメカニズムまでご説明いただけ、たいへん良かった。
◆ピアノの構造については殆ど知らなかったが楽しめました。
◆アクションは少し分かりづらかったので、動画があればもっと良かったかと思います。
◆とても興味深く、また聞きたいです。
◆後半の実際のピアノを見ながら、演奏を聞きながらの説明が面白かったです。
◆知らないことがたくさん知れて良かった。
◆特に後半の話が興味深く、驚きでした。
◆大変興味深かった、もう少し詳しいレジュメがほしかった。(あとから確認したり思い出せたり、発展性のあるレジュメを要望)
◆内容が豊富でとても良かった。何回かに分けてもっと詳しく知りたい。
◆始めは難しそうに思いましたが、実際に聞いてためになりました。