【インタビュー】上妻 希緑 先生 ~子どもたちに伝えたいこと~


スタッフ:今日は、上妻先生のことを、みなさんにお伝えできる機会になるよう、インタビューさせていただきます。よろしくお願いいたします。

上妻:よろしくお願いいたします。

小6で、夢は「ピアノの先生」

上妻希緑
スタッフ:ピアノを始められたきっかけを教えてください。

上妻:偶然なのですが、お向かいに、有名なピアノの先生が住んでいらして、4歳の頃から通わせていただくようになりました。
お向かいなので、練習が常に、先生のお耳に入っている状態でした。
練習の際は、母が少し手伝ってくれていたようですが、レッスンには1人で通っていました。
途中で、私の家が引っ越しをして、その先生に習えなくなってしまったのですが、紹介していただいた次の先生に、出張レッスンをしていただきました。

スタッフ:最初の先生のレッスンを受けられた時、緊張しましたか?

上妻:子どもだったので、あまりよく分かっていませんでした。
自分では細かいことを、あまりはっきりと覚えてはいませんが、当時の楽譜を見ると、先生の書き込みがたくさんあり、丁寧にご指導くださっていたことが分かりました。
先生のご自宅に赤ちゃんが居て、赤ちゃんに会えることが楽しみでした。
それと、先生が楽譜に注意点を書いてくださったり、合格の丸印を付けてくださったりする時に、美術で使うようなコンテをお使いになられたのですが、それが気になっていたことを覚えています。
今、私は講師として、生徒さんに、「集中してね」と言うことがありますが、自分のこととなると、そういった所が記憶にあるわけですから、あまり集中できていなかったのかも知れません。(苦笑)
 
スタッフ:最初からピアノが大好きなお子さんでしたか?

上妻:習い事は他にもしましたが、水泳に行くとお腹が痛くなったり・・・なかなか続きませんでした。
そんな中で、ピアノだけは続いたんです。

スタッフ:何歳頃に、音楽の道に進むことを考えられたのですか?

上妻:小学6年生の時に、卒業文集に「ピアノの先生になる」と書きました。
当時から、私にはピアノしかない!と思ったようです。

活発な子どもだった

上妻希緑
スタッフ:当時の上妻先生が、ピアノにそこまで魅力を感じていらしたのは、なぜですか?

上妻:発表会が好きで、出演できることが嬉しかったです。
人前に出て演奏することは楽しく、緊張もほとんどしませんでした。

スタッフ:活発なお子さんだったのでしょうか?

上妻:ええ。小学校の授業では、挙手をする方で、クラスの子に対し、「ちゃんとしなきゃ!」と、自分の事を棚に上げて言っていました。

スタッフ:私も同じです。仕切っていましたよ。先生、長女ですか?

上妻:兄がいますが、長女です。

スタッフ:そうなんですね。きょうだいの順番はあまり関係ないかもしれませんね(笑)

上妻:ただ、大学に入ったら別人のように変わりました。
先生に心酔して、先生のようになりたいと思いました。

人生を変えた大学時代

上妻希緑
スタッフ:どんな先生だったのですか?

上妻:海外でご活躍された後、大阪音大で指導をされている先生でした。
先生は大学生活について「友達と一緒に授業をとるなどではなく、自分がどう勉強したいかを考えて取り組むことが大切」という考え方をされていて、私もそう考えるようになりました。
授業前に朝練をするなど、時間があれば全て練習に使いました。
私は、いつもピアノの事を考えていて、先生のように、ピアノで生きていきたいと思っていました。

スタッフ:先生とは、いつ出会われたのですか?

上妻:大学に入学した時です。
初めてお会いした時に、先生のオーラに圧倒されたのを覚えています。
最初の頃は緊張して、お話することも、ままならなかったのですが、先生はレッスンで、すごく細かく教えてくださいました。
私は一を聞いて十を知るタイプではなかったのですが、そんな私に、先生は1小節ごとに丁寧に説明をしてくださいました。
その際、色鉛筆やマジックで、楽譜にぎっしりと書き込んでくださったのですが、その影響か、私も、生徒さんの楽譜にたくさん書き込みをしています。

スタッフ:卒業試験では何を弾かれたのですか?

上妻:プロコフィエフの6番のソナタです。先生が選曲してくださいました。
私の演奏の雰囲気などから、がちっとしたものがいいと判断なさったのか、バーバーのソナタかプロコフィエフの6番と言われたんです。
とにかく難しかったですが、卒業試験を通して大きく成長できました。

スランプを越えて

上妻希緑
スタッフ:お話が戻りますが、大学生の時に大きな変化があったということは、高校生まではずっと活発な方だったのですか?

上妻:基本的にそうでしたが、高校3年生の時に、スランプに陥りました。
その頃まで、人前での演奏が好きだったので、緊張して思い通りに弾けないという経験はありませんでした。
それが、大学受験前に突然、弾けなくなったんです。
手が鍵盤から浮いてしまい、固まっていました。
音楽の作り方や、何が良いのか、悪いのかということも分からなくなり、精神的に、かなり辛かったです。

スタッフ:どうやって乗り越えたのですか?

上妻:高校の先生から頂いたお年賀状に「あなたに必ず春がきます」と書いてあり、
それを見て、「私にはピアノしかないんだ!」と自分自身で気持ちを奮い立たせました。
弾けなくなった理由を考えたときに、頭でっかちになって、体が言うことを聞かなくなっていたことに気が付きました。
純粋に音楽をするというよりも、周りの目や審査員の先生方のことが気になってばかりいました。
周りを意識しすぎるよりも、自分自身が音楽と向き合って、これまで身に付けた力を発揮したいと思い、がむしゃらに取り組みました。

スタッフ:その経験の後、大学に合格されたときは、本当に嬉しかったのではないでしょうか?

上妻:そうですね。入学後、先生と出会ったときに、「救われた」と思ったんです。
音楽を勉強するための道筋が分かったような気がしました。
大学時代に学んだことは、本当に大きいです。
自分の強い意志で勉強したことは、必ず力になると分かりました。
ただ、それはもちろん、幼少期からそれぞれの先生方に教えていただいたものがあってこそだと思っています。

目指すのは「自分で考え、表現する力」を養うレッスン

上妻希緑
スタッフ:先生から学んだことは、今、子どもさんにレッスンをされるときに、どのように生かされていますか?

上妻:先生は音楽の作り方を綿密に教えてくださる中で、
「将来的には、自分自身で考えられるようになってほしい」とおっしゃっていました。
今、私は生徒さんにレッスンする際、「教える」のではなく、「サポートする」という感覚を持っています。
生徒さんには、教わったことをもとに考え、表現する力を身に付けてもらいたいと思います。

スタッフ:上妻先生のレッスンは、生徒様方からとても人気ですが、最初はピアノ講師のお仕事をどのように始められたのでしょうか?

上妻:そんなふうに言っていただけて、ありがたいです。
大学在学中から、親戚の子に、レッスンしていました。
他にも、「ピアノ教えます」と手書きのポスターを作成し、ご近所さんのポストに入れて回り、大学生の方が習いに来てくださいました。
卒業後は、幼稚園に就職し、幼稚園の先生の助手をさせていただきながら、ピアノ講師を始めました。
初めの時期に、幼稚園の先生方の側で、子どもさんとの接し方を学べたのは大きかったと思います。
また音楽院や、他の音楽教室の先生方と関わる中で、レッスン内容について相談し合えたことも良かったです。



スタッフ:幼稚園の子どもさんにピアノを教える中で、気を付けていることはありますか?

上妻:ピアノを好きになってもらいたいです。それだけは外せないですね。
今は、教材の種類が豊富ですし、私自身がしっかり勉強をして、1人1人に合った、良いところを伸ばす指導をしたいと思っています。

スタッフ:子どもさんには、いろいろなタイプの方がいますよね。

上妻:そうですね。それに、日々変わっていくんです。
4月から習い始めた子は、夏休みを過ぎると、ぐっと変わります。
子どもさんの成長ってすごいな、って思いますね。

スタッフ:ピアノを通して、子どもたちに伝えたいことはありますか?

上妻:音楽を自分で感じて、表現できるようになってもらいたいです。
それはきっと、勉強する時だったら、自分で考える力、頑張る力に繋がると思うんです。
決められた枠に自分を当てはめて行動するのではなく、自発的に表現してみる、発言してみるっていうことにも繋がると思います。
と言いながら、レッスンしていると、つい目先のことで頭がいっぱいになって、厳しく言ってしまうのですが・・・。

音楽への気持ち

上妻希緑
スタッフ:今後の目標を聞かせてください。

上妻:毎回、毎年、反省なのですが・・・。講師としてレベルアップし、子どもたちを引っ張っていきたいです。
時代も変わりますし、教材も次々と新しいものが出続けています。
同じ事をしていてはいけないし、それに追いつこうと思うと、たくさん勉強することがあります。
また同時に、自分自身でピアノを演奏することにも、より深く取り組みたいです。
それによって、子どもさんたちに伝えられることの幅が広がるといいなと思っています。

スタッフ:
最後の質問です。上妻先生にとって、音楽とは何ですか?

上妻:音楽とは・・・楽しいものですね。
音楽に関するいろいろな経験を重ねるたびに、楽しいだけではないことも、たくさんありますが、
音楽を聴いて涙が出るような、あの気持ちは絶対に忘れたくない、と思います。

スタッフ:素敵なお言葉を、ありがとうございました。
上妻:こちらこそ、ありがとうございました。